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著者名 |
瀬木比呂志 |
出版社 |
講談社 |
出版年月 |
2016年10月 |
参考価格 |
¥1,760 |
頁数 |
390p |
ISBN |
978-4-06-220352-4 |
内容 |
【要旨情報】 最高裁に君臨する歴代最高の権力者にして「超」エリートの須田謙造最高裁長官。司法権力躍進のために手段を選ばぬ須田は、頻発する原発訴訟で電力会社に有利な判決を出すよう、事務総局を通じて裁判官たちを強引にあやつる。徹底的な信賞必罰による人事統制に恐れをなす司法エリートたちは、誰一人須田にさからえない。ソ連の強制収容所を彷彿とさせる思想統制に違和感を覚える民事局付の笹原駿は、図らずも須田と対峙する道を選ぶ。最高裁中枢を知る元エリート裁判官が描く、あまりにもリアルな、司法荒廃と崩壊の黙示録!
【e-honおすすめコメント】 第2回城山三郎賞受賞作家にして最高裁中枢を知る元エリート裁判官が描く、本格的権力小説! 司法権力の中枢であり、日本の奥の院ともいわれる最高裁判所は、お堀端に、その要塞のような威容を誇っている。最高裁の司法行政部門である事務総局の一局、民事局で局付判事補を務めることになった笹原駿は、事務総局が、人事権を含むその絶大な権力を背景に、日本の裁判官たちをほしいままにコントロールしていることを知る。最高裁に君臨する歴代最高の権力者にして超エリートである須田謙造最高裁長官は、意に沿わない裁判官を次々に左遷し、最高裁判決の方向さえ思うがままにあやつる。須田とその配下の思惑に翻弄される女性最高裁判事、怪物地家裁所長など自己承認と出世のラットレースの中で人生を翻弄されていく多数の司法エリートたち。彼らは、国民の権利と自由を守るべき「法の番人」としての誇りを失い、「法の支配」とは無縁の上命下服の思想統制に屈服していく。しかし、須田を頂点とする民事系裁判官支配を覆そうともくろむ刑事系エリート裁判官たちは政権中枢に働きかけ、原発訴訟で電力会社に有利な判決を出すよう須田に圧力をかけさせる。須田は、この危機を乗り切るために、みずから積極的に動く。絶対的な権力者である須田の変幻自在、縦横無尽の活動に、民事局、行政局の局課長と局付たちは右往左往し、原発訴訟の方向性を決める裁判官協議会の実務を取り仕切る主人公笹原も、否応なく巻き込まれていく。そのころ、笹原の親友であり福島地裁で原発訴訟に打ち込む如月光一判事補は、初の原発稼働差止め判決を出す準備を進めていた。原発訴訟に対する須田の強い意向を知る笹原は、如月に警告するが、如月は耳を貸そうとしない。全国裁判官の原発訴訟協議会に向けて、電力会社に有利な判決をゴリ押しする上司たちと原発の安全性に疑問を持つ笹原ら民事局若手局付たちの対立も、先鋭化していく。笹原たちは、須田や上司たちの圧力と戦うことができるのだろうか? 如月は、みずからの信念に従った判決を下すことができるのだろうか? 全国紙の司法担当デスクや女性遊軍記者、如月の妹であり両親を逃れて主人公笹原宅に同居する謎の多い美少女如月アイら個性豊かな人物が錯綜しながら、物語は、クライマックスに向かってなだれ込んでいく。
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