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著者名 |
木村朗子 |
出版社 |
講談社 |
出版年月 |
2015年03月 |
参考価格 |
¥1,925 |
頁数 |
277p |
ISBN |
978-4-06-258599-6 |
内容 |
【要旨情報】 かつて閨房から権力が生まれる時代があった。摂関政治とは「娘の懐妊」にすべてが賭けられたシステムである。女であること、生むこと、母となること…。その連なりに走る亀裂が男たちの世界をつくり、やがて掘り崩すことを、『栄花物語』の作者は見逃さない。「男もすなる歴史を女もしてみむ」ともいうべき語りの冒険を読み解く。
【e-honおすすめコメント】 本書は、平安時代の摂関政治がどのように権力を生み出していったか、そのしくみについて女たちの後宮世界からみていくものです。平安時代の宮廷サロンが生み出した文学作品に、「歴史物語」とよばれるジャンルがあります。男たちが漢文で記す「正史」にたいして、女たちの使う仮名であらわしたものです。できごとを羅列する無味乾燥な「記録」にたいして、できごとを活き活きと語る「物語」です。平安宮廷の表舞台は摂関政治に代表される男の世界ですが、周知のようにその根底を支えているのは男と女の性の営み、天皇の閨房にありました。摂政関白という地位は、天皇の外祖父が後見役になることで得られるものですから、大臣たちは次々と娘を天皇に嫁入りさせ、親族関係を築くことに必死でした。そうした要請から、摂関政治は結果として一夫多妻婚を必然としました。後宮に集う女たちは、天皇の寵愛を得るために、そして天皇の子、とりわけ次代の天皇となる第一皇子を身ごもるために競いあいました。天皇の後見と称して、その権限を乗っ取るようにして発揮する最大の権力が、天皇と女たちの情事に賭けられていたというのは、ずいぶんと滑稽な話ですが、「歴史」はそういうことをあからさまにしたりはしません。あくまで男同士の権力闘争として書くわけで、むしろその本質であるはずの、いくつものサロンの抗争や女たちの闘争は「物語」にこそ明らかになるのです。その恰好の例が『栄花物語』です。作者は歴史的事実をあえて無視したり操作することで、女であること・生むこと・母となることの連なりに走る裂け目こそが、男たちの世界をつくってはやがて掘り崩し、そうした変化が新しい権力構造を生みだしていくことをはからずも明らかにします。
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目次 |
【目次】 はじめに なぜ『栄花物語』なのか 第1章 「オモテの権力」と「ウラの権力」
第2章 後宮からの出発 第3章 花山帝という存在 第4章 生む政治 第5章 女房・召人・乳母 第6章 システムの揺らぎを語る むすびに 院政期のはじまりへ
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ジャンル |
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