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著者名 |
前田英樹 |
出版社 |
講談社 |
出版年月 |
2016年02月 |
参考価格 |
¥2,035 |
頁数 |
320p |
ISBN |
978-4-06-258620-7 |
内容 |
【要旨情報】 日本映画史に燦然と輝く名匠・小津安二郎(一九〇三‐六三年)。現存する最古の作品『学生ロマンス若き日』(昭和四年)から遺作となった『秋刀魚の味』(昭和三十七年)まで、今日観ることのできる全三十七作品を貫くものは何か。キャメラという知覚機械の本性を深く理解した小津は、サイレントからトーキーへの移行を越え、白黒からカラーへの転換をも越えて、私たちが生きる現実生活の根底に潜む“永遠の現在”を捉える。小津を愛する著者が共感に満ちた筆致で完成した集大成。
【e-honおすすめコメント】 「小津安二郎の映画ほど、それについて考えることを誘いかけるものは珍しい」──本書は、冒頭にそう記す著者が小津映画に捧げてきた思いのすべてを解き放った待望の集大成である。小津安二郎(1903-63年)は、昭和2年のデビューから死の前年に至るまで、日本映画史に燦然と輝く作品を生み出し続けた。散逸したものを除いた現存作品は全37作に及ぶ。本書は、現存する最初の作品『学生ロマンス 若き日』(昭和4年)から遺作『秋刀魚の味』(昭和37年)に至る全作品を一貫したまなざしの下に読み解く。そのまなざしとは、小津作品だけが達成しえた、映画の本性への愚直なまでの忠実さを個々の作品に見るものにほかならない。キャメラという人間の身体とは根底から異なる「知覚機械」だけが捉えられるのは、私たちが身を置いている現実生活の行動から隔絶した〈永遠の現在〉である。小津映画に特徴的な「ロー・ポジション」での撮影も、その事実に深く関わっている。『学生ロマンス 若き日』においてすでに確認できる〈神の眼〉で見られた物が帯びる〈永遠の現在〉は、若き日の小津が感化されたアメリカ映画の影響を感じさせる『朗かに歩め』(昭和5年)、『その夜の妻』(同年)、『非常線の女』(昭和8年)といったギャング映画にも、『出来ごころ』(昭和8年)、『浮草物語』(昭和9年)、『東京の宿』(昭和10年)といった「喜八もの」にも顕著に認められる。それは『鏡獅子』(昭和11年)で訪れるサイレントからトーキーへの転換を越え、さらには戦後『彼岸花』(昭和33年)で訪れる白黒からカラーへの転換をも越えて、小津作品を貫いていく。小津映画について論じた書物はあまたあれど、こうした事実が指摘されたことも、これほどまでに一貫したまなざしの下に全作品が提示されたこともなかったことは間違いない。本書は、映画を愛するすべての人に贈る渾身の1冊である。
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目次 |
【目次】 第1部 喜劇の静けさ(映画が滑稽であること 微笑の道徳
無力であること 流れ歩く人たち) 第2部 低く、水平に視ること(なぜロー・ポジションなのか サイレントからトーキーへ 映画と声 “在るもの”としての深さ) 第3部 不易を観る方法(世相と不易 映画と変わらないもの 豆腐とガンモドキの間 東京に生きる) 第4部 色彩映画、至純の華やぎ(色彩喜劇の創造 豊潤の極みへ 死を養う色) 小津安二郎は、何を撮り、何を語ったのか
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ジャンル |
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