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著者名 |
浜田寿美男 |
出版社 |
講談社 |
出版年月 |
2016年05月 |
参考価格 |
¥2,035 |
頁数 |
302p |
ISBN |
978-4-06-258627-6 |
内容 |
【要旨情報】 戦後史最大級の謎、帝銀事件。真犯人とされた男は、「我死すとも瞑目せず」との言葉を残して獄死した。取り調べや法廷で、事件はいかにして「再構成」されたのか?自白や目撃証言など残された膨大な供述記録を詳細に分析、十二人もの命が奪われた惨劇が、「虚偽自白による冤罪事件」でもあることを明らかにする。
【e-honおすすめコメント】 本書は2015年11月24日、帝銀事件の20回目となる再審請求にあたって提出された鑑定書「帝銀事件における目撃供述および自白供述の心理学的分析」の「鑑定本文」を再編集し、書籍化したものです。……もし平沢が無実ならば、先に見てきたように、帝銀事件とはまったく別のところで、無実の平沢が犯人とまちがわれ、捕らわれ、自白させられ、起訴された後、無実が認められないままに死刑が確定して、長い獄中生活の果てに獄死したという冤罪事件が起こっていたことになる。ここに、平沢が無実でありながら虚偽自白に落ちたという無実仮説が提起されるし、目撃についても、「帝銀事件」の目撃者たちがその無実の平沢を見て、「犯人と似ている」とか、「犯人だと断定する」という目撃過誤を犯したという無実仮説が提起される。もし自白と目撃について、この無実仮説が心理学的に成り立つとすれば、そのこと自体が検察側の有罪仮説への「合理的疑い」となるはずである。本書では、こうした戦略で目撃と自白の供述鑑定を進めることになる。つまり、通常の裁判での片面的検証にたいして、有罪仮説-無実仮説を立てて、そのどちらの仮説がよりよく目撃・自白の全データを説明するかという鑑定で、いわば両面的検証をおこなう。ここで、もし有罪仮説の説明力のほうが高いということになれば、目撃者の供述過程は「当初、正確に特定できなかったけれども、やがて平沢を真犯人として正しく射当てていった過程」だということになるし、平沢の自白過程は「真犯人が取り調べのはじめは嘘で否認していたけれども、やがて真の自白に落ちて犯行を語り、裁判ではまた嘘の否認に転じた過程」だということになる。そうなれば、本件の確定判決の正しさが再確認される。しかし逆に、もし無実仮説の説明力のほうが高いということになれば、目撃者の供述過程は、「事情聴取がくりかえされていくなかで無実の平沢を真犯人とまちがえていった誤謬の過程」であり、自白過程は「無実の平沢が疑われ取り調べられて、最初は真の否認をしていたのに、やがて嘘の自白に落ちて、犯行の筋書きを語り、裁判では思いなおしてふたたび真の否認に転じた過程」だったことになる。もしそのことが証明されれば、じつは、その自白過程や目撃供述過程そのものが「無実証拠」として浮かびあがることになる。(本文より)
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目次 |
【目次】 序章 犯罪と冤罪―ひとつの事件がふたつになるとき 第1章 「帝銀事件」と「平沢貞通事件」
第2章 判決の論理と心理学の検証 第3章 目撃者たち 第4章 平沢は事件のなにを語ったのか 第5章 再否認に転じた過程と精神鑑定
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ジャンル |
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