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著者名 |
齋藤嘉臣 |
出版社 |
講談社 |
出版年月 |
2017年05月 |
参考価格 |
¥2,200 |
頁数 |
368p |
ISBN |
978-4-06-258652-8 |
内容 |
【要旨情報】 アイゼンハワー政権以降、国務省はアメリカの文化的魅力を発信すべく、最高のミュージシャンを「ジャズ大使」として世界各地に派遣した。ベニー・グッドマン、ルイ・アームストロング、デューク・エリントン…。彼らは共産圏で観客をスウィングさせ、第三世界の聴衆を熱狂の渦に巻きこむ。しかしアメリカ発「自由のリズム」は、「抵抗のしらべ」と反響し、やがて権力の思惑を超えた「連帯のハーモニー」を鳴り響かせる。二十世紀後半の国際政治を音楽から照射した鮮烈な一冊。
【e-honおすすめコメント】 ジャズは自由の母国としてのアメリカを象徴する音楽と理解されてきました。そして20世紀後半の国際政治を大きく規定した東西イデオロギー対立のなかでジャズには重要な位置が与えられたのです。アイゼンハワー政権下、米国務省はアメリカを代表するミュージシャンたちを「ジャズ大使」として世界各地に派遣。彼らは、アジア、アフリカ、南米や共産圏の各地で観客を熱狂の渦に巻きこみます。デューク・エリントン、ルイ・アームストロングやサラ・ヴォーンら多くのスターたちが参加したこの壮大な計画の目的は「アメリカ」を宣伝することにありました。しかし、ジャズには同時に「アメリカ」批判、抵抗の音楽としての側面があります。人種隔離からみずからの解放と自由を求める人びとにとって、ジャズを演奏することはすなわち、抑圧的社会に抗議の意思を表明する象徴的行為でした。ジャズが重視する即興性は、譜面が求める規律に抵抗するものです。すなわちジャズにはこの二面性、つまり自由な自己表現を追求する側面と、抵抗の文化としての側面が内包されているのです。その抵抗の矛先がアメリカ自体に向かうとき、ジャズは反米の意思表明媒体となります。たとえば第二次世界大戦後のフランスがそうであったように。サルトルら実存主義の思想家は、思想を体現するものとしてジャズを捉え、アメリカ批判の論陣を張りながらジャズを積極的に受容しました。さらにジャズは「連帯」をうながす媒体ともなります。アメリカから派遣される「ジャズ大使」たちは政府の思惑を超えてファンとのあいだに多様な共感を生んだし、共産圏に生きるミュージシャンやファンも国境横断的な連帯の輪を独自に広げました。今日のジャズに期待されているのも、異文化対話をうながし人びとのあいだのつながりを導く連帯の哲学です。本書は国際政治史のなかでジャズが果たした特異な機能を考察し、ジャズが国際政治と共振しながら織りあげた歴史の実像に迫ります。戦争、冷戦、デタント、平和運動、イデオロギー、民主化、脱植民地化、人種、異文化対話といった、アメリカ内外の政治的ダイナミズムが交錯するところにジャズはあり、それを問うことはジャズとアメリカとの関係を脱構築することになるでしょう。
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目次 |
【目次】 序章 ホワイトハウスのデューク・エリントン 第1章 「アメリカの音楽」の生成
第2章 冷戦のはじまりとジャズ 第3章 「ジャズ大使」のアジア、中東、アフリカ訪問 第4章 脱植民地化と連帯 第5章 反米の手がかり 第6章 赤いジャズ・シーン 第7章 鉄のカーテンを揺らして 第8章 築かれるべきもの 終章 ジャズは「アメリカ」を超えていく
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ジャンル |
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