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著者名 |
藤田覚(日本史) |
出版社 |
講談社 |
出版年月 |
2015年08月 |
参考価格 |
¥990 |
頁数 |
260p |
ISBN |
978-4-06-292317-0 |
内容 |
【要旨情報】 江戸後期、幕府は財政窮乏化のなか風紀粛正と質素倹約を旨とする天保の改革を断行する。風俗取り締まりのため庶民の娯楽である寄席の撤廃や歌舞伎三座の移転、廃止まで打ち出した老中水野忠邦に対し、真っ向から対立したのが北町奉行の遠山金四郎だった。庶民生活の実情を重視し、厳しい改革に反対しながら骨抜きにした名奉行の論理を明らかにする。
【e-honおすすめコメント】 片肌を脱ぎ、桜吹雪の見事な彫り物を見せながら、悪党たちをやり込めて「これにて一件落着」と裁きをつける名奉行。テレビの時代劇や歌舞伎、講談でお馴染みの天保期(1830~44)の町奉行、遠山の金さんこと、遠山金四郎は、大岡忠相と並んで江戸時代の名奉行として知られる。大岡忠相には「大岡政談」という江戸末期に完成したタネ本があり、そこに描かれた大岡像は虚像というのが研究者の常識だが、遠山の金さんにはタネ本さえない。はたして歌舞伎や時代劇の遠山像はまったく根拠がないものか。本書はその実像を現存する史料から丹念に明らかにする。遠山金四郎が江戸町奉行を務めた時代には、幕府財政が窮乏するさなか風紀粛清と奢侈禁止を旨とする天保の改革が断行され、江戸庶民にも深刻な影響をあたえた。この改革を主導したのが老中の水野忠邦で、風俗取り締まりのためには庶民の娯楽である落語、手品、物まねなどを興行する寄席の撤廃や、中村座、市村座、森田座など歌舞伎三座の移転まで強行しようとした。庶民の実情を無視した時の権力者の改革案に対して、町人の成り立ちを重視し、庶民の暮らしの実情を調査して、厳しい改革に抵抗を示したのが町奉行、遠山金四郎だった。それは仮設の店舗や屋台など「床見世」の撤去案や農村への「人返しの法」など江戸の実情を無視した改革に対しても示された。本書は世の実情を考慮しない改革に対し、庶民の立場を重視した現場責任者としての江戸町奉行・遠山金四郎の闘いを検証した名著である。原本:『遠山金四郎の時代』校倉書房 1992年刊
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目次 |
【目次】 第1章 遠山の金さん像の虚実 第2章 繁栄の江戸か寂れた江戸か
第3章 寄席の撤廃をめぐって 第4章 芝居所替をめぐって 第5章 株仲間解散をめぐって 第6章 床見世の撤去をめぐって 第7章 人返しの法をめぐって 第8章 近世後期の町奉行たち 第9章 「遠山の金さん」の実像
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ジャンル |
文庫 > 学術・教養文庫 > 学術・教養文庫 > 講談社学術文庫
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